今回取り上げるのはグラファイトデザイン「TOUR AD GC」。こちらの試打計測を行ったのでレビューしていきます。
計測にはトラックマン4を使用(今まではGCクアッド使っていたのですがアプリなどソフトウェアの使いやすさから変更しました。)
結論から言っておくと、捕まりは控えめですがフェードでもスピンが増えにくいので飛距離も出てくれました。安定してストレートからフェード系を打っていけるのが強みといったところです。
筆者自信はドローヒッターですが、軽めのフェードになっていくのでフッカーでもストレート寄りに調整したい場合におすすめしやすいです。
捕まりは弱いフェードバイアスなシャフト。安定性が高くて良かったですが振り感はちょっと硬めでした。
TOUR AD GCの概要とデザイン
TOUR AD GCはブロンズにホワイトの組み合わせ。男性よりも女性の方が好みそうなカラーな気がします。
ちなみにGCはゲームチェンジャーの略で新時代のニュートラルシャフトとのこと。
先端側のデザインはこんな感じ。
ポジションマップ上だとGCほぼ中央ですが、PTと比較するとややフェード寄りになっています。
GCは中間から手元側を太くすることで剛性自体を強化、さらにフープ外装にAD SHIELDという補強材を使ってねじれだったり、潰れを防ぐというのが新テクノロジーだそうです。
スペックは40g台のR2〜70g台のTXまでが市販されています。
TOUR AD GCの振動数・中間剛性
振動数と中間剛性を計測しました。あくまで静的な計測データですが、ひとつの目安になるかと思うので参考にしてもらえればと思います。
計測に使ったシャフトスペックは6Sです。
装着ヘッドはキャロウェイ パラダイムAi SMOKEトリプルダイヤ、長さは45.5インチです。
振動数は267cpm。60g台のカスタムシャフトの中では高めの数値です。
太くなっているということなので、やはり手元側の剛性が高くなっているみたいですね。
次にセンターフレックス計で中間剛性を計測してみると5.44kgでした。
中間部の剛性もかなり高いです。ハザーダスやベンタスブラックほどではありませんが、アメリカンなシャフトに近い雰囲気が出ています。
さらにもう少し先端側も計測してみると5.16kg。ここでも5kgを超えているのでそこそこ硬さがあります。
メーカーが出している剛性ゲージだとこうなっていますが、計測しても全体的に締まっていて緩めている箇所があまりない印象です。
実際に振って見ると手元から中間、そして先端までしっかりと締まった感じがしてどこがどうしなっているというのが無いです。全体が均一にしなる感覚で、言い方を変えれば「棒」みたいな印象があります。
癖は確かになさそうですが、多少しなり感が欲しいならワンフレックス落としてみるのも良いかもしれません。
TOUR AD GC試打計測データ
TOUR AD GCの試打計測の平均データが下記
2024年よりドライバーはヘッドスピード45m/sでの計測に統一しています(1m/sぐらいは前後するのはご了承ください)。
項目 | トラックマン平均値 |
---|---|
H/S (m/s) | 44.1 |
B/S (m/s) | 66.0 |
打ち出し角(度) | 14.3 |
打ち出し方向(度) | 2.0 |
バックスピン | 2350 |
スピン軸 | 1(右) |
最高到達点 | 32 |
降下角度(度) | 37.6 |
曲がり | 1.8(右) |
キャリー(yd) | 248.1 |
総距離(yd) | 271.4 |
スマッシュファクター | 1.50 |
当サイトでは平均トータル距離が260を超えれば飛ぶモデル。さらに270ヤード以上でれば文句なしに飛ぶという基準を設けています。
TOUR AD GCは平均で270ヤード以上の飛距離を出せているので、飛距離としては申し分のない結果です。
今回ヘッドスピードが平均44m/sとそれほど出なかったにも関わらずボールスピードがかなり出ていました。
スマッシュファクターを見てみると平均値で1.50と効率がめちゃくちゃ良いのが要因かなと思います。
捕まりは弱いです。石川遼選手が右へのファールが出ないと表現していましたが、実際に打った感じではフェード系なシャフトだと思います。
分散を見てもセンターラインから右側に集中しています。筆者はドローヒッターなのにも関わらずこの傾向なので左へ行くことを抑えやすいタイプには間違いなさそうです。
フェード寄りでもバックスピン量は2300回転あたりをキープできるので、低スピン系にはなります。初速+余分なスピンを排除できることが飛距離アップに繋がっているようです。
もっとロースピンにしたいならTOUR AD VFの方がおすすめ。
良かった点と微妙な点
良かったところ
- ストレートからフェードバイアスで安定性重視
- 先端剛性が高く大型ヘッドとのマッチングも良好
- フェードでも低スピンで飛ばせる
微妙なところ
- 振り心地にはやや硬さを感じる
安定感が高くてロスの少ない優等生
ロスの少ないシャフトです。インパクト効率も良くてヘッドスピードに対しては最大限飛距離を出せているので飛びについての評価は自ずと高くなってきます。
全体的に締まったシャフトで遊びがないので物理的にエネルギーロスが少ないのも関係していると思います。
ドロー系の筆者が打っても安定したストレートからフェードで打てるあたりにも安定感があって良いと思います。個人的にはもう少し捕まってくれた方が好みではありますが、そういう場合はPTを選ぶと良いでしょう。
非常にニュートラルな中調子ですが、TOUR ADの中でやや捕まるPT、捕まりを抑えたGCという感じで選べるようになったのはユーザー目線で見ると選択肢が増えて嬉しいところです。
ただ、しなり感がちょっと少なくて棒みたいな感じはするのでそこで好みが分かれる可能性があります。筆者は6Sを買って使ってみたものの、ワンフレックス下げて6SRとかでも良かったかも・・・思っているところ。
総合評価
評価は上記のようになりました。飛距離と操作性、安定性は素晴らしかったです。高効率で飛ばせる力はベンタス以上にも感じます。
全体の剛性感も均一に近く、どこかが極端に動くところも感じづらいので癖が少ないという表現は確かにそうです。シャフトに余計なことをしてほしくない方は好むはず。
また、捕まりは控えめだしロースピンになりやすいタイプではあるので、いつもどおりのスペックで選ぶとハードヒッター寄りな印象になりやすいかと思います。
硬めが好きならいつものスペック。ちょっとしなりが欲しい場合はワンフレックス程度落とすのが良いんじゃないでしょうか。
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