今回取り上げるのはスリクソン ZXi7アイアン。こちらの試打計測を行ったのでレビューしていきます。
計測にはトラックマン4を使用(今まではGCクアッド使っていましたが、アプリなどソフトウェアの使いやすさから変更しました)
打感は柔らかくなって絶品だけど、飛びにくい?
「S15C軟鉄」という超やわらかい素材を使ったアイアンです。柔らかすぎる事から打撃によってロフト角やライ角が変化しやすいため、ほぼどのメーカーも使用しません。
ところがZXiシリーズから採用された新テクノロジー「コンデンス鍛造」によって、採用できたというのがトピックです。
素材特有の柔らかさのおかげで、打ってみてもわかりやすく柔らかい打感になっていますし、打感重視で選ぶならマジで良いと思います。フェースへの乗り感もより体感できるようになったのでフィーリング面でのパフォーマンスは素晴らしいと感じました。
ただ、素材が柔らかすぎるからなのか?初速が出やすいタイプではなかったです。飛距離はあまり期待できないので、ロフトだけで決めるよりもイメージした飛距離が出るのか、実際に試してもらった方が良いと思います。
トラックマンによる試打計測データ
2024年より7番アイアンでの計測ヘッドスピードは約37m/sでの計測に統一しています(1m/sぐらいは前後するのはご了承ください)。
項目 | トラックマン平均値 |
---|---|
H/S (m/s) | 37.1 |
B/S (m/s) | 49.2 |
打ち出し角(度) | 20.4 |
打ち出し方向(度) | -2.2 |
バックスピン | 6177 |
スピン軸 | -0.5(左) |
最高到達点 | 30.6 |
落下角度(度) | 48.5 |
曲がり幅(yd) | -0.7(左) |
左右ブレ(yd) | -6.5(左) |
キャリー(yd) | 151.0 |
総距離(yd) | 157.5 |
キャリーは平均で151ヤード。ロフト32°の7番アイアンと考えれば飛距離はやや出づらい印象を受けました。
全体的につかまりが弱めであることも影響しているのか、ボールスピードが50m/s以下とそもそも出ていませんね。ここに関しては素材が従来よりも柔らかい鉄を使っているのも影響していたりするのか?なんて事も思っていたりします。
スピン量は申し分ないレベル。多いと6000回転中盤ほど入っていましたし、スピン量は期待どおりです。
最高到達地点の高さは低めでした。バックスピンによる浮力のおかげで落下角度が48°以上をキープできていますが、楽に上がってくれるアイアンではありません。
スリクソン ZXi7 アイアンの弾道
先ほど言ったように、つかまりは若干弱めでした。ドローヒッターの筆者でも一貫してフェード系の球筋が打てるあたり、上級者が好みそうなつかまり方をします。
ちょっとつかまったなーぐらいでストレートに近いドローが出ていたので、ドローヒッターでもアイアンはストレートに攻めていけるニュートラルなタイプが良いなら扱いやすいでしょう。
高さはあまり期待できません。
スピンによる浮力で止めていくタイプであることは明白なので、高打ち出しでドーンと高さが出るのが良いならおすすめはしないですけど、このアイアンを使いたい人はライン出しのショットもすると思うので、そういったショットはイメージを出しやすいはず。
打ち出しがやや左だったので、センターラインよりも若干左に集中していますが、基本的にはストレートからフェードイメージです。
当然捕つかまった当たりは伸びるので、左上に行くほど飛んではいますが、かなり安定した縦距離を打てました。しっかりとミートできればイメージを具現化しやすいアイアンという印象です。
ただしミスに対しては少々厳しいところも感じました。打点ブレに対しての期待値は低く、あくまでもマッスルバックに近いツアーキャビティという位置づけだと思っています。
スリクソン ZXi7 アイアンのフィーリング
今作ではS15Cという非常に柔らかな軟鉄を採用しているため、打感はけっこう柔らかいです。フェースへの乗り感も良いのでソフトでした。
ボールがフェースに乗ってくれるので操作性にも繋がっている。
ですが、今作は初速がイメージよりも出にくかったのはヘッド素材が柔らかすぎるから?なのかもと疑ってしまします。フェースにくっついてからゆっくり飛び出していく、というよりも実際初速は遅めだったのですが、そういった飛び方のイメージが好みなら良いかもしれません。
ヘッド形状やテクノロジー
ZXi7アイアンにはS15Cという非常に柔らかい軟鉄が使われてるのは先程も言ったとおり。S20C、S25Cあたりが従来使われている軟鉄素材で、S25Cが特に一般的です(数値が少ないほど柔らかいと思ってもらったらいいです。)
柔らかければ打感もソフトになって良いじゃん!と思いきや、柔らかすぎると使っているうちにライ角やロフト角の変化もしやすくなるという弊害があります。なのでS15Cはほとんどアイアン製造には使われてきませんでした。
ですが、今作ではコンデンス鍛造という新設計で、ネックの強化に成功したという事みたいです。これによって、S15Cを使用しても打撃負荷にも耐えられるようになっています。
ZXi7ではバックフェースの肉厚部分を拡大しています。スリクソンによるとインパクト時の変形量を抑えられるため、打ちごたえがあって吸い付くような打感を実現したとしています。
確かに打感は非常に柔らかいので素材による軟化と打点エリアの改善の効果は実感できました。
ヘッド形状はこちら。スリクソンらしくトップブレードはやや厚め。
トップブレードに厚みは感じますが、フェース長は短めで操作性の良さを感じさせてくれます。
お馴染みののTOUR V.T.SOLEも搭載。
三角ソール+トウとヒールに段差をつけて抜けを良くしているのは従来どおり。抜けは抜群に良かったです。
良かった点と微妙な点
良かったところ
- ソフトな打感にさらに磨きがかかった
- ストレート~フェードでコントロール性能が最高
- 抜けがよくてスピンもしっかりとかかる
微妙なところ
- 素材が柔らかすぎるからなのか、初速がちょっと出にくい印象を受けた
データチャート
S15C軟鉄を採用したことによる打感の良さは最高です。ハーフキャビティ系アイアンとしては屈指のソフトフィーリング。おかげでボールがフェースに乗る感覚もより良く感じられるようになっていますし、操作性も文句なしの出来栄えと言えるでしょう。
抜けはいつもどおりのソールながら、これはこれで完成されているため高評価です。
その他は、初速がやや出にくい、控えめなつかまり具合、打球が特に上がりやすいこともない等、難易度が上がる要素もありました。
飛んでつかまって、上がりやすいのが優しいアイアンと考えるなら、ZXi7アイアンは難易度はやや高めになると思います。
まとめ
一見すると何も変わってないように見えるのが最近のツアーアイアンですが、ZXi7に関してはS15C軟鉄を素材に採用できるようになった等、地味ながらも画期的なテクノロジーに驚かされました。おかげで打感は素晴らしいものになっているので、フィーリングを重視したいなら非常におすすめです。
ただ柔らかすぎて飛距離が犠牲になっている面も見受けられたので、飛距離も欲しいならZXi5アイアンもチェックしておくのが良いと思います。
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